■　経営のヒントになれば幸いです

健全で安定した経営には、十分な売上確保と同時に、徹底した経費管理が不可欠です。 　飲食関連の店であれば、経費の中でも特に重要なのは食材の原価率と人件費。 　この二つの合計を 「Ｆ／Ｌ（エフエル）コスト」 と言い、 売上高に占める材料費と人件費の割合が 「ＦＬ比率」 です。 　ＦＬ比率の縮小に知恵を絞る経営者が多いなか、弁当の製造及び配達を仕事としているある会社は、原価率も人件費も業界トップであることを誇りにしています。 　一人前430 円の弁当を１日７万食提供して年商85億円。 　「日本一の弁当屋」 たるゆえんは、製造ロス率0.1％を実現する生産体制や受注体制、配送システムの構築に加え、ＦＬ比率アップという逆転の発想にもあるようです。 　業界の原価率が平均40％なのに対して、玉子屋は常に50％以上という高さです。 　顧客満足の向上、つまり食べて美味しかった、また食べたいと思える弁当を考えれば、食材への徹底したこだわりは絶対条件で、玉子屋にと ってはむしろ誇らしい数字といえましょう。 　また、業界トップと推測される人件費も、社員全員がそれに見合った働きをして、結果を出せば何の問題もありません。 　更にその会社では、社会一般で言われる、いわゆる 「悪ガキ」 を積極的に雇ってきました。 　ほめられた経験の少ない彼らをほめて教育し、楽しく働く喜びを教えて、弁当の配達に出すと営業マンの役目も果たしてくるそうです。 　１万食に10人の営業マンが必要とされる業界で、配達員が営業を兼ねれば、営業マン70人分の人件費を社員で分け合えます。 　原価率アップで顧客が満足し、人件費アップで社員も満足し、結果的に健全で安定した経営が成り立つ。 　弁当も日本一なら、経営バランスも日本一と言えるかもしれませんね。